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書きながら考えているので考えたことを書いてるんじゃなくて書いたものが考えたことです。もしかするとなにも考えていないかもしれない。

『バグダッド・カフェ』

 見ました。ここにはないどこか遠く場所でのお話という感じと、しかしそこに自分がいることを幻視して心を温めるような感じ。物語の原初的なあり方、つまり語り部の周りを囲んで語られるものを聞いているような錯覚。とても心地いい。


 こんな親密なお話にも、「あなたたちは仲が良すぎる」といってモーテルを出て行った若い女がいたということも見逃せない。家族同然の温かいつながりを持った場でも、みんながみんな同じものを選択するわけではなくて、そこを去ることを選択する人もいる。この女が旅だったあとにどんな物語を生きたのかも見てみたい。


 しかしこの女を演じているクリスティーネ・カウフマンという女性、めちゃくちゃ美人ですね。検索してみたら白黒時代の画像とかでてきたんだけど、昔の海外の女性って、現代とファッション的な差異をそんなに感じない。昔の日本女性の美人ももちろん美人ですけど、現在から見ると「その髪型……化粧……」みたいなところに目がいってしまう。その時代の理想の美人像も、欧米よりは日本のほうがころころ変わってるような気がする。もしかしてあれか、電◯のしわざか。


 モーテルを出ていった女のシーンもクライマックスのシーンもそうだけど、全体的にさらっと映して深く追求する描写がないのはわりと好感を持った。もっと歳をとってから見ると、またいいものだと思うのかもしれないなー。


バグダッド・カフェ 完全版 [DVD]

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